ラ ス ト シ ー ン




映画館のスクリーン 

映し出されたロックスター

客席はがらんどう

どうしてこんなにも泣いているのか

どうしてこんなにも彼は泣いているのか

肝心な私は何処にも居らず

彼の声だけが虚しく響いた


神様って本当にいるのね

あの日神様を見つけてしまったの私

金色の鬣を靡かせて

背中には深紅の羽根を背負っていた

夜空の天鵞絨のような瞳でもって闇を射抜く

桃色の舌は饒舌な迄に罪を語り

何処迄も何処迄も

その姿は人間そのものだった



優しい人なんてそんなに居ないもの

愛を知っている人なんてそんなに居ないもの

解らない、ともがき辛うじて掲げたそれそのものこそが

真実だとは知る由もなく




人はとても哀しい生き物ね母さん

私と貴女を繋いでいる真実なんて

時にとても曖昧過ぎて恐ろしくなってしまうのよ私







映画館のスクリーン 

映し出されたロックスター

客席はがらんどう

どうしてこんなにも泣いているのか

どうしてこんなにも彼は泣いているのか

肝心な私は何処にも居らず

彼の声だけが虚しく響いた





残酷な迄に此の世の総ての色を背中に背負って

夕日の色に染められた肌は血飛沫をあげている






ラストシーン





ロックスターが空っぽの客席に告げた言葉は

宇宙の隅々から拾い集めてきた星達を

数珠繋ぎにしたような奇跡のような一行だった











































55 STREET / 0574 W.S.R / STRAWBERRY7 / アレコレネット / モノショップ / ミツケルドット