火葬の華


優しい言葉に包まれて絶えてゆく

最期にみた顔は哀しい程に穏やかな顔だった




時間が人を残酷にしてしまうので

こんな日の事も　誰も彼も

きっといつか貴方も

忘れ去られてしまうでしょう




最期に残るのはきっと

貴方を忘れた貴方の言葉

言葉だけが土に根を下ろし

いつまでもいつまでも

枯れる事のない花を咲かすでしょう




それはなんと残酷な事で

それはなんと寂しい事で

それはなんと狂おしい事で

言葉にはいつも裏腹に

愛が込められている事

人は知らずに散ってゆく




簡単に傷付ける為用いた言葉ですら

簡単に裏切りを証明した言葉ですら

時間だけが覚えている

傷付いた心が死んでも

裏切られた心が死んでも

時間だけが

失くしてしまった筈の心だけが

言葉の筵となって魂を宿す




優しい言葉に包まれて絶えてゆく

愛に蝕まれて枯れてゆく

閉じられた目蓋の奥

黒真珠にこびり付いた記号

肋に抱かれた心臓に絡み付く粗悪な言葉

子宮に根付いた母の呪文









それはなんと残酷な事で

それはなんと寂しい事で

それはなんと狂おしい事で








こんな日の事も　誰も彼も

きっといつか貴方も

そして私も