浸 水
木蓮が雨に千切れてゆく
車のライトが油膜を張ったコンクリートに反射して
白は
限りなく存在を喪失して
翼を覆う
七色の光は
偽善を秘めた
脆弱な粘膜
雨に濡れ
雨に濡れ
雨に濡れ
何処へ
忘れてしまった名前のよう
両手に刻まれた運命の千には
答えなど微塵も語られている筈がなく
鏡に映った情けのない背びれは
病気を持った熱帯魚
死んだ目が物語る悲愴感に
何処迄もささくれ立った心が共鳴すれば
喉から手が出そうな程 心はそれを欲して
愛など茶番だと喚いている貴方が僕は嫌いだ。
木蓮が雨に千切れてゆく
車のライトが油膜を張ったコンクリートに反射して
白は
限りなく存在を喪失して
「乾いた心が水浸しだ。」
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