安 楽 の 終 着 点



塗り潰されやがて黒一点となる

美しい思い出はそれだけで罪だ

極彩色を幾重にも重ねた笑顔は

何時しか重油の雨となり声を奪う



本当の優しさはきっと

触れれば心が千切れてしまいそうな

今にも消えてしまいそうな

ささやかで 悲しみを湛えたものであろう

触れた時に心が震えて涙するのは

隠し切れない傷を宿しているから

其処に

触れてしまった事に気付くから



本当の事を告げる口を躍起になって探している

探しているのに

狼狽し 声にもならない声をあげているこの口すら

本当の事など語ってはいない



孤独も 愛も 希望も命も

心の在り処も 夢のような安楽も

幾重にも幾重にも重ねて

気が遠くなる程に

幾つもの時限を越えて

命を何度と折り重ねても




あなた

そう

あなたただ一人を探しているのか

己を探しているのか

言葉を探しているのか

真理に触れたいだけなのか





この身が尽きる事は恐らく無い

気付きの渦の中にいる以上

安楽を感じる事は出来やしない





見張っていて欲しい

もう二度と目覚めぬよう

そうして見張っているのは

何処迄も何処迄も

俺に似た顔の俺なのだ





















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