M O T H E Я



その何気無い筆跡に触れて

自分の愚かさに慄き 涙した

さり気なく それでいて確実に彼女は生きていた

私が口にする軽薄な惰性等は

彼女にとって気にする事程のものではなかった

本当に心の底からさり気なく軽やかに彼女は生きていた



同じ月日を歩んできて

同じ空や 同じ空気を感じて

私の傷に触れて 

私の荒み切った言葉を飲み込んで



私の身体には間違いなく

彼女と同じ血が流れているのにも関わらず




とても とても

真似など出来やしない

とても とても

鏡に映る姿は何処も似てなどいやしない

曖昧な私の輪郭

貴方の身を削り抉り

この目も この口も

授かったものであるというのに

視るものの色

口にする言葉

どうしても どうしても






貴方の血や肉で出来た身体を持って

私は人を軽薄視し 軽蔑し

この身に罪を刻み 風通しのよい穴を幾つも開けた







誰が気付くのだろう

彼女が持つ当たり前の生命力に

さり気ない強さに

その血を感じても尚

私の身体を流れる貴方と同じ血は

色を変える事は無いのだろうと思う

そう静謐なる舞台の幕の裏側で

阿鼻叫喚 疑心暗鬼 

重ねても重ねきれない程の傷を隠して

一切の総てを其処に宿し

静かに生きている

風が其処に起こる事はなく

温度は常に一定に保たれているのだ









懸命に生きてさえすれば

それに応える優しさが貴女を導いてくれる

救いの言葉ですら痛みを覚えるのです

この涙の意味はこの世の概念を覆すものであり

貴女と私の関係をも覆すものであります





自分の愚かさに慄き 涙した

母さん

私は貴女のようにはとても生きられやしない

































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